良かったと思っていただけるように
教授 市来 智子 Tomoko Ichiki
教授 市来 智子 Tomoko Ichiki
令和6年4月より当教室の第4代目教授を拝命しました市来智子と申します。
少子高齢化と大都市への医師偏在が進むなかで、地域医療を担う総合診療医の養成を求める声がますます高まっております。現状、地方の各大学病院が総合診療医の育成に取り組んでいますが、未だ学問としての総合診療の確立は道半ばであり、それぞれの地域での模索が続いています。その中で香川大学の医学生さんたちの「総合診療医になりたい」という要望も多く、香川県における「総合診療」の学びの場を確立するために、県内の総合診療に取り組む医師が一体となって総合診療医育成に携わる活動が生まれ、形となってきた中での着任となりました。
私は医師27年目ですが、様々な土地・大学で経験を積んできました。最初の10年間は鹿児島大学で内科・循環器内科研修を行い、循環器内科専門医と学位を取得しました。その後米国ミネソタ州にあるメイヨークリニックに「心不全の病態生理探索、バイオマーカーと新薬開発」をテーマに10年弱の研究留学を致しました。潤沢な研究資金の中で思いっきり研究ができ、出退勤時間も自由で有給休暇もしっかり取れる環境のなかでのびのびと過ごすことができました。帰国後は国際医療福祉大学に着任しましたが、臨床ブランクが長かったため、まずは現場復帰のためのリカレント教育を地域中核病院で周囲の助けも借りながらなんとか乗り切りました。そして、将来の医師人生や自分の研究テーマを考慮し、一念発起して総合診療へ転向、総合診療医としてのリカレント教育を受けながら札幌医科大学、滋賀医科大学で勤務し、当科へ来たという次第です。
米国・関東で働いた経験や、リカレント・リスキリングを行なった経験から当科の運営では以下を目標とし、環境整備していきます。
若い医師の皆さんが「香川で総合診療を選んで良かった」、香川にお住まいの皆様が「総合診療の先生が地域にいて良かった」と思っていただけるように、教室員一同、力を尽くします。
当教室は昭和60年に総合診療担当医師が配属され、平成元年に正式に総合診療部開設(初代 戸谷 拓二教授)したのが始まりとなります。平成9年に第2代目の千田彰一教授、平成27年には総合内科へと名称変更し第3代目の舛形尚教授が就任されました。令和6年4月、第4代目教授に充たる市来の着任より、専門医基本領域の一つである「総合診療」を担い、育てる診療科として「総合診療科」へ名称変更しスタートいたしました。
当教室では、地域の皆様へ「総合診療」の医療を提供するとともに、次世代の医師・教育者を育成する基盤を作り香川の総合診療を持続可能なものとするため、
を行っていきます。